「病気は下から上に進む」——そんな話を聞いたことはありますか?
これは、病気が身体の浅い部分から深い部分へ、そして下から上へと進行していくと考える、東洋の古い医学的な考え方に由来しています。
今日は、この考え方のもとになった故事「病膏肓(やまいこうこう)に入る」の意味と背景を、わかりやすくご紹介します。
「病膏肓に入る」とは?
「病膏肓に入る」とは、
病気が進行して、もう手の施しようがないほど重くなった状態
を意味する言葉です。
この表現は、中国の古典『春秋左伝(しゅんじゅうさでん)』に登場する故事から生まれました。
由来のストーリー
昔、晋(しん)の国の景公という王が病にかかりました。
秦(しん)の国から名医を招くことになったのですが、診察を受ける前の夜、景公は不思議な夢を見ます。
夢の中で、彼の病気の「精(せい)」が二人の子どもの姿をして現れ、こう話すのです。
「名医が来るらしいぞ。捕まらないように、心臓の下の“膏(こう)”と、横隔膜の上の“肓(こう)”に隠れよう。」
翌朝、医師が診察すると、病はまさにその「膏」と「肓」という身体の奥深い場所に入り込んでおり、もはや薬も針も届かない状態だったのです。
そこから「病膏肓に入る」という言葉が生まれ、
「治らないほど深刻な状態」を表すようになりました。
また転じて、
何かに深くのめり込み、抜け出せなくなる
という意味でも使われています。
なぜ「病は下から上に進む」と言われるの?
この故事からもわかるように、病気は最初は体の表層や浅い部分に現れます。
たとえば、軽い冷えやだるさ、皮膚の不調など。
ところが放っておくと、そのエネルギーはだんだんと身体の奥へ、そして下から上へと移動していくと、東洋医学では考えます。
- 下(足・下腹部)=体の基盤
- 中(胸・背中)=呼吸や循環
- 上(頭・脳)=心と意識
つまり「病気は下から上へ進む」というのは、
体の深部や中枢へと病が浸透していく様子を、身体の流れで表した言葉なのです。
現代に生きる私たちへのヒント
「病膏肓に入る」という言葉が教えてくれるのは、
病気は小さいうちに気づき、対処することが何より大切
ということ。
ちょっとした不調を「たいしたことない」と見過ごさず、
身体の声に耳を傾けて早めにケアすることが、
大きな病を防ぐ第一歩になります。
疲れや冷え、むくみ、眠りの浅さなども、身体が発している小さなサイン。
そうした変化に気づける感性を育てることこそ、日々の健康管理の要です。
まとめ
「病膏肓に入る」という故事は、単なる古いことわざではなく、
身体を深く理解する東洋の知恵を今に伝えるものです。
病気の進行を“下から上へ”ととらえる考え方は、
身体の流れやエネルギーの動きを知るうえでとても大切な視点。
不調のサインを早めにキャッチして、
身体の声と仲良く暮らしていきましょう。
スピリチュアルボディセラピスト
Arti(アルティ)
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